『超限戦』研究ノート2021年2月16日

 2021年1月20日、朝起きる時「超限戦!超限戦!」という声を聞いて目覚めた。
『超限戦』を読み、研究せよ、と神様に言われたのだと思った。
 前日の1月19日に、『ヨハネの黙示録』の「第六の天使のラッパ」〔黙9:13〕が吹かれ、「42ヵ月」〔黙13:4〕に入っている。この42ヵ月〔黙13:4〕が「終わりの時」〔ダニエル 12:4〕に密接に関わっているので、『超限戦』という書籍で展開されている考え方や思想がを研究しておくように、神さまに言われたのだ。

 日本時間2021年1月19日に、『ヨハネの黙示録』の「第六の天使のラッパ」〔黙9:13〕が吹かれた。
 日本時間2021年1月20日22時(米時間20日8時)、アンドルーズ統合基地でトランプ大統領の退任式が行われ、日本時間2021年1月21日2時(米時間20日12時)、バイデン次期大統領の就任式典が行われた。

「時の配置」は2021年1月19日に大きく定まった。

 2021年1月20日に『超限戦』を申込み、1月21日に到着。
 1月27日までに読み、次に2月16日まで、ノートを取りながら読み込んだ。

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 日本の神話の九頭龍と高龗神に焦点を合わせて日本の各地を周ってきたが、神の国の「九頭龍」が人の世に「戦争」という獰猛な獣となって現象化するのだと自覚した。
「九頭龍」は追い詰められると、崩竜(くずりゅう)となって、過去と未来に逃れてきたわけだが、『超限戦』の思想の中に、「九頭龍」の本質が余すところなく示されている。
 形や様式を崩し崩竜(くずりゅう)となり、身を潜め、1000年後や2000年後に復活し「九頭龍」となって現れ、天地開闢の神々が創造された世界の簒奪にかかってきたのだ。
『超限戦』という思想書と、中国共産党の現実の世界戦略があるので、これで「九頭龍」ならびに崩竜(くずりゅう)も逃れることができない。
 九頭龍や高龗神を日本各地で祀り、善化しようという古来からの日本の祀り方のスゴサがある。
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 以下が、私なりのまとめである。
 2021年2月16日成田亨 記す。

技術革命と軍事思想革命~最初に超えなければならない壁は、倫理基準と規範原則である

『超限戦』は、1999年2月に発表された、中国人民解放軍大佐の喬良(きょう・りょう)と王湘穂(おう・しょうすい)による戦略研究の共著である。

 著者たちは、1990(平成2)年8月2日のイラクのクエート侵攻が引き金となって始まった湾岸戦争(1991年1月17日~1991年2月28日)によって、戦争自体がすでに変わってしまった、と喝破している。

 湾岸戦争に対するアメリカ軍の総括から生まれた「空地一体戦」「全次元作戦」という考え方を軍事思想という観点から徹底的に研究し、次の時代の戦争に勝利するための軍事思想革命をなし遂げることを目論んだ意欲的な作品である。

 1999年2月に著者たちの新軍事思想が公開され、アメリカ軍が著者たちの軍事思想を採用する機会もあったし、中国軍が採用する機会もあった。当然、日本の自衛隊も著者たちの軍事思想を採用する門戸は開かれていた。

 著者たちは湾岸戦争に対するアメリカ軍の軍事思想の弱点を、兵器などの軍事技術に偏る傾向にある点に発見し、軍事技術ではなく軍事思想、つまり、どういう考え方で相手を打ち負かすのかという考え方の道筋に新局面を切り開いた。

 著者たちは、こういう軍事思想の考え方の要点を、「空っぽの籠」と説く。

 簡単にいえば、戦争に勝つためには、倫理観や道徳観に縛られず、使えるものはすべて「空っぽの籠」に入れ、考えられるすべての戦法や戦術を考慮して、いろんな組み合わせを考えて戦術・戦略を選択していくべきだと説く。

「今日では一つの手段の有効性を測ろうとする場合、主として、その手段の属性がある種の倫理基準に合っているかどうかを見るのではなく、それがこの原則、すなわち目標を実現する上で最良のルート・原則に合致しているかどうかを見極めることが大切である。

 この原則に合致している限り、それは最もよい手段なのだ。ほかの要素は完全に無視してもよいとは言えないが、それが目標の実現に有利だということを前提としなければならない。

 言い換えれば、超手段的組み合わせが最初に超えなければならないのは、ほかでもなく、手段そのものが隠し持っている倫理基準あるいは規範原則である。」

 既存の観念を完全に超越することによって、われわれは初めてタブーを脱し、手段選択の自由、すなわち超限の境地にはいることができる。

「籠の中」に血なまぐさいもの、残酷なものをいれたときに初めて、事態は厳しいものに変わり、世間をあっと言わせる味わいを持ち始めるのである。

軍事超軍事非軍事
核戦争外交戦金融戦
通常戦情報戦貿易戦
生物化学戦心理戦資源戦
生態戦技術戦経済援助戦
宇宙戦密輸戦法規戦(法律戦)
ゲリラ戦麻薬戦メディア戦
テロ戦模擬戦(威嚇戦)イデオロギー戦
ナノ戦 文化戦

 未来の戦争の在り方として、著者たちは次のような架空の実例を挙げる。

「敵国に全く気づかれない状況下で、攻撃する側が大量の資金を秘密裏に集め、相手の金融市場を奇襲して、金融危機を引き起こした後、相手のコンピューターシステムに事前に潜ませておいたウィルスとハッカーの分隊が同時に敵のネットワークに攻撃を仕掛け、民間の電力網や交通管制網、金融取引ネット、電子通信網、マスメディア・ネットワークを全面的な麻痺状態に陥れ、社会の恐慌、街頭の騒乱、政府の危機を誘発させる。
 そして最後に大軍が国境を乗り越え、軍事手段の運用を逐次エスカレートさせて、敵に城下の盟の調印を迫る。」

 これは孫子の「戦わずして人の兵を屈する」の境地までは達しないものの、「巧みに戦って人の兵を屈する」ことだと言えるだろう。

戦争とは何か? 現代においては利益と戦争が密接に関わっている

 著者たちは、現代における利益と戦争の密接な関わりを説いている。

 著者たちは、ことごとく利益が重視される現代にあっては、自国の利益によって同盟結ばれるので、変わらない友というものはなく、変わらない利益だけがあり、昨日の友は明日の敵となり、交易関係のあるすべての国々が、味方になることもあるし、明日の敵にもなりうる、と見なしている。

 戦争という万華鏡は利益によって動かされ、幻のように絶えず変化していく。

 生存と利益の衝突を解決するための極端な方式として、戦争は一度も人類の調教を受けたことがない猛獣である。戦争は一方では社会生態系の清算人であり、もう一方では人類の生存に対し直接的脅威を構成している。

 いかに戦争を駆使し、同時にまた、戦争に傷つけられないようにするか。

 いかなる形の暴力であれ、戦争は戦争なので、戦争になったら勝たなければならない。

これまでの戦争の原理は「武力的手段を用いて自分の意志を敵に強制的に受け入れさせる」ものであったが、現代では「武力と非武力、軍事と非軍事、殺傷と非殺傷を含むすべての手段を用いて、自分の利益を敵に強制的に受け入れさせる」ものになっている。

 戦争は生きるか死ぬかであり、滅ぼすか滅ぼされるかであり、いささかも天真爛漫であってはならない。

テロリズムの根絶は可能なのだろうか?

 著者たちが1999年2月に発表してから2年後、2001年9月11日にアメリカ同時多発テロがおこり、著者たちの「非軍事の戦闘行動」に対する警告が現実のものとなった。9.11に直面したアメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領は、テロという「非軍事の戦闘行動」に対して、「これは戦争だ!」と言いい、著者たちの警告が悲劇的な形で実証されてしまったのである。

 著者たちの関心も、9.11を引き起こした「テロリズム」に向けられており、テロリズムを根底から取り除くことは言葉で言うほど簡単ではない、として「テロリズムは、強い集団に圧迫され日増しに瀬戸際に追いやられている弱い集団の絶望的なあがきである」という事実の指摘に留まっている。

「テロリズムに対し国家的暴力式の打撃を与えるだけではとても不十分だし、問題を根本的に解決することにもならない」

大戦法は意外に簡単だ~「道は一を生じ、一は二を生じ、三は万物を生ず」

 著者たちは、軍事と非軍事という二大領域間ですべての次元、すべての手段を組み合わせて戦争を行う「大戦法」を提案し、次のように予言する。

「この大戦法は生まれた時から、国家の安全に影響を及ぼすあらゆる次元を内包し、超越する全く新しい戦争形態を必ず作り出すであろう。」

そしてこの全面的戦法の原理は、何も複雑ではなく、実にシンプルな単語で言い表される---組み合わせである。

「道は一を生じ、一は二を生じ、三は万物を生ず」

『超限戦』が発表されて9年後、2008年9月15日にリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことに端を発して、連鎖的に世界規模の金融危機が発生した。中国では元を刷りまくり、生産設備投資へ振り向け、世界の金融危機を緩和させる政策を取った。その結果、過剰の鉄の在庫を抱える。この過剰な鉄の在庫を、鉄の道(鉄道)敷設へ振り向けた。

「道は一を生じ」させる。

9年間の思想の発酵期間と、5年の政策と戦法の試行錯誤期間を経て、2013年の一帯一路構想による鉄道の敷設から中国は「一を生じ」させ、中国の大戦略が始まったのである。

「一は二を生じ」させる。

 鉄道の敷設から始まった一帯一路構想を「利益」面からバックアップさせるためにアジアインフラ投資銀行(AIIB)をスタートさせ、中国は「一は二を生じ」させた。

状況の変化によって「三」が生まれ、全ての世界戦略の源泉となっていた。

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 『超限戦』は、1999年2月に中国で発売されてベストセラーになり、2001年12月には日本でも発売されているので、本書の考え方や思想は誰もが知ることができる。

 ナポレオンヒルの『成功の哲学』によって、成功のエッセンスを知ることができるように、著者たちの『超限戦』によって、戦争に勝つための大戦略を知ることができる。啓発本として『成功の哲学』と『超限戦』を読んだ場合、両者の違いは、多くの人に幸福をもたらす可能性があるか、一国にだけ勝利をもたらすかの違いだけである。

 本書は現在の中国が進めている大戦略の最良の解説書になっている。一帯一路やアジアインフラ投資銀行(AIIB)は戦争に勝つための大戦略を担っている。中国はスリランカに経済協力という名で金を高金利で貸し付け、その返済の代わりにスリランカは南部ハンバントタ港を中国国有企業に 99 年間引き渡すことになった。2017年の出来事である。軍事侵攻で港を占拠するよりもはるかに効率的だ。

『超限戦』の原則の提出は、戦法を完璧なものにする上で必要不可欠な理論工程

 湾岸戦争前後に全世界的な範囲で大小さまざまの軍事、準軍事ないし非軍事の戦争がなければ、アメリカ人の「全次元作戦」とわれわれの「超限組み合わせ戦」という、戦争の新概念も提起されることはなかったし、これと共生する作戦原則を世に問うことも当然なかったであろう。

「全次元作戦」理論が中途半端のまま挫折したことを残念に思っているからこそ、われわれは「超限組み合わせ戦」を単なる理論・思弁のレベルにとどめず、実際に操作できる戦法状態へと進化させることを考えた。

 われわれが唱える「超限」思想の真意は、あらゆる限界を破ろうとするところにあったのだが、一つだけ守らなければならない限界がある。

 それはすなわち、作戦行動を行う際に必要な原則を遵守することだ。
 ただし、原則自体がある特殊な状況下で破る必要があった場合は別である。

 戦争の法則に対する思考がある種の戦法に凝縮されたとき、原則もそれに伴って生まれてくる。
 ただしこれらの戦法と原則は、新たな実戦による検証を経なければ、次の勝利を通じる標識になれるかどうか、まだ断言できない。

 しかし必要な原則の提出は、戦法を完璧なものにする上で必要不可欠な理論工程である。
 以下の原則がある。

(1)全方向度
(2)リアルタイム性
(3)有限の目標
(4)無限の手段
(5)非均衡
(6)最小の消耗
(7)多次元の協力
(8)全過程のコントロール

(1)360度という立体的空間に時間を加え、さらに非物理的要素を加えた全次元において戦争を行うことなど、誰もできはしないのだ。
 しかし、全方向度(360度の観察、設計とあらゆる関連要素の組み合わせ)は「超限戦」の出発点であり、またその思想の覆う面である。
 戦法の大綱的な原則として、全方向はその実施者に対し、基本的に次の点を求めている。
「今度の」戦争と関係のある要素を全面的に考慮し、戦場と潜在的な戦場を観察し、計画と使用手段を設計し、動員できるすべての戦争資源を組み合わせること。

(2)現代の戦争が擁する技術的手段、とりわけITの普及、遠隔作戦技術の登場および戦場転換能力の増強は、分散し性格が異なる戦場を一体化し、さまざまな軍事力と非軍事力を並行して戦争に持ち込み、戦争の進展プロセスを大幅に短縮した。
 かつて戦役や戦闘の積み重ねを通じて、段階別に達成する必要のあった多くの目標は、今や同時到達、同時進行、同時完成の要求が出された後、速やかに実現される可能性がある。
 このため、作戦時の「リアルタイム性」が強調され、それは「段階性」を超えつつある。
 綿密な計画の前提下で、異なる空間、異なる領域に分布する戦争の要素は、突然性、隠微性、有効性を達成するため、統一的に約束した同じ時間帯に、戦争の目標をめぐって、ばらばらだが秩序をもって、暗黙の了解に呼応した組み合わせ式の攻撃を展開する。

 全戦域にわたるリアルタイムの行動は、ほんの短い時間の超限戦にすぎないかもしれないが、戦争の運命を決めるに十分である。
 ここで言う「リアルタイム」とは、1分1秒も違わない「同時」ということではなく、「同一時間帯」を指している。
 こうした意味において、超限戦は名実相伴う「時間の決定戦」である。

(3)有限の目標~手段の及ぶ範囲内で行動の指針を確立する。
 目標の有限性とは手段に対していうものである。
 したがって、有限の目標を確立する原則は、目標が永遠に手段より小さいということである。
 誰であろうと、どんな行動であろうと、目標が手段より大きい限り、必ず失敗する。
 資産に限界があるのに、無限の責任を負うことに熱心な会社は、破産する以外に、その他の結末はないであろう。

(4)無限の手段~無制限な手段を運用しつつも、有限の目標を満足させるにとどめる

(5)非均衡~均衡対称の相反する方向に沿って行動ポイントを探す
「非均衡」は一つの原則としていうならば、超限戦理論における偏正の法則の主要な支点である。
 その要領は、均衡や対称とは逆の思考方向に沿って、作戦の行動を展開するということである。
 戦力の配分と使用、主戦方向や打撃の重心の選択から兵器の配置に至るまで、いずれも非均衡要素の影響と、非均衡を手段として目標を実現する問題を双方向から考えなければならない。
 一種の思考の道筋としてであれ、作戦を指導する原則としてであれ、非均衡は戦争のあらゆる方面に表現される。非均衡の原則を正しく把握し運用する限り、必ず敵の肋軟骨の部位を見つけ、しっかりとつかむことができる。