ホピ 宇宙からの聖書フランク・ウオーターズ著(徳間書店) |「月の光」

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第T部/第1章 第一の世界(トクペラ) 無限宇宙からの人類創造

タイオワ  最初の世界はトクペラ(無限宇宙)といった。
 だが、ホピによれば、初めは創造主タイオワしかいなかった。それ以外はすべて無限宇宙だった。始まりもなく、終わりもなく、時も空間も、形も生命もなかった。始まりと終わり、時、形、生命をタイオワの心の中にもつ、推し量ることのできない無の世界のみがあった。
 次に、無限者は有限をはらんだ。初めに、彼はソツクナングを創造して現わしめ、こう告げた。
「わしは、無限宇宙の中に生命を造る計画を遂げるために、おまえを人として第一の力と器に造った。わしは、お前の伯父じゃ。おまえは、わしの甥じゃ。さて、行ってわしの計画どおり互いに調和して働くよう、宇宙を秩序正しく整えるがよい」
 ソツクナングは命じられたとおりに行った。無限宇宙から、個体として現れるものを集め、それをかたどり、九つの宇宙を整えた。一つはタイオワのため、一つは自分のため、そして七つの宇宙はのちの生命のためである。終えてのち、ソツクナングはタイオワのもとに行き、 「これはあなたの計画に沿っていますか?」
 とたずねた。
「上出来じゃ」
 タイオワは答えた。
「さて、についても同じようにしてほしいものじゃ。これら宇宙の表面にを置き、それぞれが等しく分れるように」
 そこで、ソツクナングは水として現れるものを無限空間から集め、それらを宇宙一つ一つの上に置いて、それぞれが半分個体、半分液体となるよう配慮した。彼は、次にタイオワに向かっていった。
「わたしのした仕事をごらんください。あなたの意にかなったものかどうか」
「上出来じゃ。次に、万物の上にの力を穏やかに動かしてほしい」
 ソツクナングはこれを行動に移した。無限宇宙の中から彼はとなるものを集め、それを大いなる力に造り、宇宙一つ一つのまわりを穏やかに動くように配置した。
 タイオワはこれを喜んだ。
「甥よ、わしの計画に従ってよくぞ仕事をはたしてくれた。おまえは宇宙を創造し、それらを個体との中に現わしめ、正しく配置した。だが、まだ仕事が完成したわけではない。生命とその動きを造りだし、わしの宇宙計画の四つの部分ツワカキを完成してほしい」

 クモ女(コクヤングティ)と双児(ポカングホヤ・パロンガウホヤ)

 ソツクナングは、第一の世界トクペラとなる宇宙に行き、を創造した。その地に留まって彼の手助けとなるはずの女である。名をコクヤングティ(クモ女)といった。
 生命に目覚めて名をもらうと、彼女はたずねていった。
「なぜ、わたしはここにいるのでしょう」
 ソツクナングは答えた。
「まわりを見よ。われわれの創造した地球がここにある。そこには物質方向始まり終わりはあるが、生命だけがまだない。喜ばしい動きがない。喜ばしい音がないのだ。動きなくして、生命があろうか?そこで、生命をわれわれが創造するのを手助けする力が、あなたには与えられている。また、あなたの創造するすべてのものを祝福する愛と知恵、知識も与えられている。あなたがここにいる理由は、それである。」
 彼の指示に従って、クモ女はを幾らか手にとり、それをツチュバラ(唾液)と混ぜて、二つの存在にかたどった。次に、創造の知恵そのものである白い物質でできた覆い(ケープ)をその上にかけ、創造の讃歌をうたった。覆いをとると、双児が立ち上がって、こうたずねた。
「わたしたちは誰ですか?なぜ、ここにいるのですか?」
 クモ女は、右のものにいった。
「あなたはポカングホヤ。あなたは、生命が芽生えるときに、この世界に秩序を保たせるのです。全世界に出ていって、地球が完全に固まるように、あなたの手をさしのべなさい。これが、あなたの義務です」
 クモ女は、次に左の者に向かっていった。
「あなたはパロンガウホヤ。あなたも、生命が芽生えるときに、この世界に秩序を保たせるのです。全世界に出てゆき、どこからでもきこえるよう音を送り出しなさい。これがあなたの役目です。これがきかれるとき、あなたは『こだま』として知られるようになるでしょう。すべてのものは、創造主のこだまなのですから
 ポカングホヤは地球を隈なく旅して、高い場所を山々に固めた。また、低い場所も固めたが、のちにそこに置かれることになる者たちが使えるよう、柔らかくしておいた。
 パロンガウホヤは、地球を隈なく旅して、命じられたままに声を響き渡らせた。両極を貫く地軸に沿った波動中枢(センター)のすべてが、彼の呼び声に反響した。全地は震え、宇宙は共鳴して揺れた。こうして、彼は全世界を音の道具にして、音を情報を伝えるための、そして万物の創造主への讃歌を響かせるための道具にした。
「伯父よ、これがあなたの声です。万物があなたの音に反響しています」
 とソツクナングはタイオワにいった。
「上出来じゃ」
 とタイオワは答えた。
 自分たちの役目を終えると、ポカングホヤは北極に、パロンガウホヤは南極に送られて、世界を秩序正しく回らせることになった。ポカングホヤはまた、地球を安定した個体の形に保たせる力を与えられた。パロンガウホヤは、空気を秩序正しく動かし続ける力を与えられ、地球の波動センターを通して声を送り出すよう命じられた。
「これが、今後のあなた方の役目です」
 とクモ女はいった。
 彼女は次に、樹木灌木をつけるあらゆる種類の植物を土から創造して地を覆い、一つ一つに生命と名前を与えた。また、あらゆる種類の動物たちを創造した。まず土で形を造り、そこに白いケープをかけ、歌をうたった。あるものは自分の右側に置き、あるものは左側に、あるものは前に、あるものは後ろに置いて、地の隅に向かって広がるように命じた。
 ソツクナングは、美しい陸、植物、鳥と動物、その間を流れる力をみて楽しく思った。彼は喜びに満ちてタイオワにいった。
「わたしたちの世界がどんな様子かどうかごらんください」
「大変よい」
 とタイオワは答えた。
「次は人間の番じゃ。これでわしの計画が完成する」

 人類の創造(P27)

 そこで、クモ女は、今度はという四つの色の土を集め、口の液(ツチュバラ)をそれぞれに混ぜて形を造り、創造の知恵そのものである白いケープでこれを覆った。前と同じように創造の歌をこれに向かってうたい、そして覆いをとると、ソツクナングそっくりの人間たちがそこにいた。次に、彼女は自分の姿に似せてさらに四人の人間を造った。これが最初の四人の男のパートナーとなる女たち、ウティである。
 クモ女がケープを外すと、形は生命となった。これは、濃い紫色の光コヤングヌプトの時代、人間の創造の神秘を初めて明らかにする創造の第一段階であった。
 彼らはすぐに目を覚まし動き始めたが、まだ額の上は湿っていて頭頂には柔らかな点があった。これは、黄色い光の時代シカングヌカ、生命の息吹が人の中に入る創造の第二段階の時代である。
 短かな時間のうちに太陽が地平線の上に現れ、彼らの額の湿気を乾かし、頭頂部の柔らかな点を固めた。これは創造の第三段階タウラバ、赤い光の時代であり、このときに人間は完全に形をとって固まり、創造主を仰ぎ見るようになった。
「あれが太陽です」
 とクモ女はいった。
「あなた方は初めて創造主なる父と対面しているのです。あなた方は常に、これら創造の三つの段階を覚えておかなくてはなりません。濃い紫色黄色赤色という三つの光の時は、神秘生命の息吹愛の温かさを告げます。この三つが創造主の生命の計画を形づくっているのです。また、創造の歌も歌われています。」

 創造の歌(P28)

    濃い紫の光に昇り
    黄色い光に昇るとき
    われら大地の花はうまれん
    歓ばしき長寿をうけんため
    われらは自らを蝶の乙女と呼ばん
    
    男も女もに祈れ
    創造主なる太陽を尊べ
    鈴の音は空気を通して鳴り響き
    大地を通して歓びの音を伝え
    その歓びの音は全土のこだまする
    
    父よ、われらを慎みて願わん
    完全者、父なるタイオワよ
    黄色の光によりてわれらに示されし
    麗しき生命を造りたもう完全者よ
    赤き光のときにわれらに完全な光を
    与えたまえ
    
    完全者は完全なる計画を定めたもう
    生命の中に歓びを植える歌をつくり
    われらに長寿を与えたもう
    この幸福の道の上で、われら蝶の乙女は
    父なる太陽を仰ぎそのみ心を行なわん
    
    歌は創造主より歓びとともにこだま
    大地のわれらはそのこだまを創造主に返さん
    黄色の光が現れるとき
    喜びのこだまは幾度となく響く

    来るべき時代のために響いては響き返す

 第一世界の最初の人々は、彼女に答えなかった。話ができなかったのである。何らかの対策を講ずる必要があった。クモ女はソツクナングから力を受けていたので、彼に呼びかけてどうすべきかを問う必要があった。そこでパロンガウホヤを呼んでいった。
「あなたの伯父を呼びなさい。今すぐ必要なのです」
 こだまの子パロンガウホヤは、地軸に沿って地球の波動センターに呼びかけ、知らせはそこから全宇宙に反響した。
「われらが伯父ソツクナングよ、すぐ来てください。あなたが必要なのです。」
 大風のような音とともに、ソツクナングは彼らの前に現れた。
「私はここにいる。いったい何事か」
 クモ女はこう説明した。
「ご命令のとおり、最初の人間を創造しました。彼らの姿形は完全で、肌の色も正しく、生き、動いていますが、話すことができません。それが欠けています。そこで、話す力を与えていただきたいのです。また、知恵と生殖力をも。彼らが生きることを楽しみ、創造主に感謝できるよう」
 そこで、ソツクナングは互いの違いがわかるよう、肌の色に従って違った言語を与えた。  次にこのように告げた。
「わたしは、あなた方が生き幸せになるためにこの世界を与えた。ただ一つ、あなた方に求めることがある。いついかなるときにも創造主を尊ぶこと。知恵と調和、そしてあなた方の創造主の愛を尊ぶことである。それが成長し、あなた方が生きている限り忘れられることのないように」
 こうして、最初の人類はその赴くところに行き、増え始めた。

 人間の性質(P31)

 最初の知恵が与えられたとき、彼らは大地が自分たちを同様に生き物であることを理解していた。大地は彼らの母である。彼らは母の肉体から造られ、その乳房をすすった。動物がみな食む草、そして人類のために特に造られたトウモロコシが母の乳だった。トウモロコシはまた、多くの点で人と似た体を持つ生き物であり、人はその肉を自分たちの肉体とした。したがって、トウモロコシもまた、かれらの母であった。そのように、彼らは母なる大地と母なるトウモロコシという、しばしば同意味をもつ二つの面から母を知るようになった。
 彼らはまた、父をも二つの面からとらえた。はまず宇宙の太陽神である太陽だった。赤い光タラウバの時代に太陽が現れたときに初めて、人は完全に固まり形をとったのである。しかし、太陽は創造主タイオワが彼らを眺めるための顔にすぎなかった。
 これらの宇宙的実体がまことの親であり、人間の親は彼らの力が現されるための器にすぎなかった。近代まで、彼らの子孫はこのことを覚えていた。

     <中略>

 そのように、最初の人々は親という存在の神秘を理解していた。また、その原始的な知恵において、彼ら自身の構造と働き、つまり人間そのものの性質をも理解していた。
 人の生きた体と大地の生きた体は、同じようにして形成された。いずれの場合も、中心に軸が貫いている。人の軸とは脊髄であり、これが人の動きと機能の平衡を取っている。この軸に沿って幾つかの波動センターがあり、宇宙全体に原初的な生命の音を響かせ、あるいは悪しきことがあれば警戒を発する。
 人において、第一のもの頭頂にある。人類が誕生した当初、ここにはコパピ(開き扉)と呼ばれる柔らかな点があった。人は、ここを通して生命を受け、創造主と交わったのである。呼吸する度に、この柔らかな部分は創造主と交わる穏やかな波をもって上下した。赤い光のタラウバの時代、つまり創造の最後の段階において、柔らかな点は徐々に固まり扉は閉ざされてしまった。これは、人が死ぬときまで閉じたままであり、死に至って生命が飛び立つために開かれる。
 このすぐ下に、第二のセンターがある。人が自分でものを考えるための器官、脳と呼ばれる思考器官である。その働きは、地上での活動について考えさせることにある。だが、自分の活動が創造主の計画に一致すべきであることを理解すれば理解するほど、思考器官本来の機能は全創造物の計画を遂行することにあることを、人はますます知るようになる。
 第三センターにある。ここは生命の息吹を受け取るを波動器官に結び付け、音とともにその息を返す働きをもっている。この原初の音は、地球という体の波動センターからくる音と同じく、全被造物の宇宙的波動と同調している。新しい各種の音が言葉と歌の形をとってこれら発声器官から生み出されるが、これは第二義的な機能である。だが、中心となる機能を理解し始めるにつれて、人は創造主に向かって語り、賛美するためにこのセンターを使い始めた。
 第四のセンター。これもまた、生命そのものの波動に震える振動器官である。人は心の中で生命の善とその真の目的を感じ取る。人は「一つの心」をもつ。だが、邪悪な思いが入ることを許す者たちもいた。彼らは「二心」をもつ者と呼ばれた。
 人間のもつ重要なセンターのうち最後のもの臍の下に位置する、いわゆる太陽神系叢である。その名が暗示するとおり、ここは人の中にある創造主そのものの座である。人の働きはすべて、この中枢から命令されるのである。
 最初の人々は病というものを知らなかった。悪が世界に入って初めて、人は体と心に病を生じるようになった。人の成り立ちを知っている呪師は、各中枢を調べることによって、どこが悪いか告げることができた。呪師はまず、頭頂、額、喉、胸、腹の上に手を置く。呪師の手は幻視の道具であり、各センターからの波動を感受してどこがもっとも強まっているか弱まっているかを伝えた。消化不良な食べ物からくる胃腸の痛みや風邪にすぎない場合もあったが、患者自身の悪い思いや「二心」の者たちによって、外部から病が呼びこまれる場合もあった。このような場合、呪師は薬袋から直径4pほどの水晶をとり出して、まず太陽にあてて使えるようにし、それから各センターを水晶を通してのぞく。こうすることによって、病の原因を、ときには病気を起させている「二心の者たち」の素顔を見ることもできた。水晶には何一つ魔力はない、と呪師は常々いっている。凡人がそれを眺めてみても、何もみることはできない。水晶は、視覚中枢の映像を客体化するにすぎないのである。
 こうして最初の人類は自分自身を理解した。これが彼らの生きた第一の世界であった。その名前はトクペラ、すなわち「無限宇宙」である。  その方位西
 はシクヤングプ()。
 鉱物はシクヤスブ()。
 大きな頭の蛇カトヤ、脂肪を食べる鳥ウィソコ、四ツ葉の草ムハがその世界にいた。
 最初の人類は純粋で幸せだった。

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第T部/第2章 第二の世界(トクパ) 火と氷による大浄化(P36)

 第一の世界(トクペラ)は火で滅亡(P36)

 かくして、最初の人類は地の面に増え広がり、幸せに生きていた。彼らは肌の色も異なり、言葉も違っていたが、一つのように感じ、話さずとも互いに理解することができた。鳥も獣もまた同じであった。誰もが草や種、果実、トウモロコシという乳を与える母なる大地の乳房を吸い、人も獣も一つのように感じていた。
 だが、創造主を敬えというソツクナングとクモ女の命令を忘れる者たちが、徐々に現れてきた。彼らは、ますますもって体の波動センターを地上的な目的のためだけに使うようになり、創造の計画を遂行するという初めの目的を忘れ去った。
 その頃、彼らの間にラバホイヤお喋り)が現れた。彼はモクニツグミに似た鳥)と呼ばれる鳥の形をとって現れ、、喋れば喋るほど、人々は自分たちの違いを確信するようになった。人と動物の違い、また肌の色や言葉、創造主の計画に対する信仰の違いなど。
 動物が人間から離れ始めたのは、この頃である。動物たちの守護霊が、尾の真下にある後脚の部分に手を置いて、彼らを野生化させ人を恐れて逃げるようにさせたのだった。この柔らかな脂肪質の部分は、鹿と羚羊の後脚の両側に今もみることができる。
 同じようにして、人間も互いに分裂し始めた。違う民族と言葉の者たちが分裂し、次に創造の計画を覚えているものとそうでない者とが分かれた。
 彼らの間には、カトヤという美青年が大きな頭をもつ蛇の姿をとって現れた。彼はさらに人々を互いに引き離し、最初の知恵から遠ざけた。人々は互いを疑い、非難しあって、ついに暴力に訴えて戦い始めた。
 その間もモクニは喋り続け、カトヤはさらに人々を騙し続けた。そこには休息も、平和もなかった。
 だが、どの民族、どの言語の人々の中にも、創造主の法則によって生き続ける僅かな数の人たちがいた。彼らのもとにソツクナングはやってきた。大風の音とともにやってきた彼は、突然彼らの前に現れてこう告げた。
「わたしは、事態をずっと見守ってきた。それがあまりにひどいので、わたしは伯父のタイオワにこれを告げた。わたしたちは、この世界を滅ぼし、あなた方が初めからやり直せるよう新しい世界を創造することに決めた。あなた方は、わたしたちの選んだ者たちである」  人々は、注意深くその指示を耳に傾けた。
 ソツクナングはいった。
「あなたがたはある場所に行く。コパピ頭頂の波動中枢)があなた方を導くであろう。この内なる知恵は、あなた方にある光景を示す。それは昼は特定の雲、夜は特定の星となって、あなた方を導く。何ものももたずに行け。雲が止まり星が止まるときに、あなた方の旅は終わる」
 こうして、これら選ばれた人々は世界の各所で突然姿を消し、昼は雲、夜は星に導かれて旅をした。他の人々は、どこに行くのかときいて、彼らを嘲った。
「雲の星も見えないぞ」
 と彼らはいうのだった。これは、彼らが頭頂にあるコパピの内なる視界を失ってしまったからである。扉が閉ざされてしまっていたのだ。それでも、雲と星をみる人々を信じてついていく僅かな数の人々がいた。
 多くの昼と夜を経てのち、最初の人々は所定の場所に到着した。まもなく、他の人々がきて、たずねた。
「あなたがたはここ何をしているのですか」
 これに対して、彼らは
「ソツクナングにいわれてここにきたのです」
 と答えた。
「わたしたちも、蒸気と星に導かれてここに来たのです」
 と人々は答えた。彼らは違う民族と言葉であっても同じ心と理解をもっていることを知って、喜び合った。
 最後の一団が到着したとき、ソツクナングが現れた。
「全員そろったか。あなたがたは、世界を破滅から救うために私が選んだ者たちだ。私についてきなさい」
 彼は「蟻人間」の住む大きな塚のところまで人々を導くと、その屋根を踏み鳴らして、蟻人間たちに入口を開けるよう命じた。入口が開くと、ソツクナングは人々にいった。
「このキバ地下に設けられた儀礼所)に入りなさい。わたしが世界を滅ぼすときにもあなた方は安全である。ここにいる間は、蟻人間たちから教えを受けよ。彼らは働き者である。冬のために夏の間食物を蓄える。暑いときには涼しく保ち、寒いときには暖かく保つ。彼らは、お互いに平和のうちに生きている。彼らは、創造の計画に従っているのだ」
 そこで、人々は地下に下り、蟻人間とともに生きた。彼らが皆安全でいる間に、タイオワはソツクナングに世界を滅ぼすように命じた。ソツクナングは世界を火によって滅ぼした。それは、火族がこの世界の指導者だったからである。彼は世界に火の雨を降らせた。すなわち、火山の口を開いたのだ。火は下からも上からも湧き出て、地も水も風もすべて火の元素一色と化し、地の子宮の中で安全に生きている人々以外は何も残らなくなった。

 第二の世界(トクパ)は氷で滅亡(P39)

 この間、人々は蟻人間とともに地底で平和に暮らしていた。彼らの家は、地上にいた時の状況とよく似ていた。生活するための部屋があり、食物を蓄える部屋があった。また、まわりをみるための光もあった。蟻塚の砂の中にある微少な結晶が太陽の光を吸収していた。人々は両目の後ろにある中枢の内的な視覚を使って、その光の反映をみることができたのである。
 ただ一つのことが悩みの種だった。食料が底を尽き始めたのである。ソツクナングが、第二の世界を創造するには長くはかからないのだが、第一の世界が滅びた後、冷えるまでに時間がかかった。食料が不足してきたのはこのためである。
「苦労して集めた食物をそんなにくださらなくて結構です」
 と人々はいった。
「あなた方はお客さまです。わたしたちのものは、またあなた方のものです」
 と蟻人間は答えた。こうして、蟻人間は自分たちの食料を人々に与え続けた。彼らは毎日、自分たちの帯をきつく締めた。今の蟻が腰のところで細くなっているのは、このためである。  ついに第一の世界は冷えた。ソツクナングはそれを清め、第二の世界を創造し始めた。海のあったところは陸、陸のあったところは海に変えて、ソツクナングは地上の様相を一変させた。このため、第二の世界に生まれた人々は、かつての悪しき世界についは何も思い出すことはなかった。
 すべてが完了したところで、ソツクナングは蟻塚の屋根をたたき、呼びかけた。すぐに蟻人間の族長が上に昇ってヌタを押し開き、こういった。
「どうぞお入りください」
 ソツクナングは、まず蟻人間に声をかけた。
「この人たちを助けるのに力を尽くしてくれたことに感謝する。あなた方のしてくれたことは、いつまでも覚えておこう。やがて次の世が滅びるときがくる。そのとき、悪しき人々は蟻塚の上にやってきて座り、あなたがたに救ってくれるよう叫ぶだろう。今、あなた方は務めをはたしたので、第二の世界に上がり、蟻として生活せよ」
 次に、ソツクナングは人々に言った。
「わたしの造ったこの第二の世界に入りなさい。前ほど美しくないが、それでも美しい世界である。増え、幸せに過ごしなさい。しかし、創造主とその掟を心にとめなさい。創造主に対する讃美の歌がきかれるうちは、あなたがたはわたしの子であり、わたしに近い」
 こうして、人々は第二の世界に現れた。
 その名はトクパ
 方角は
 色は
 鉱物はコチャシバ()である。
 主な生物は、サラビ(モミ)、クワワ(ワシ)、コリチヤウ(スカンク)。
 そこは広大な陸地で、人々は急速に増えて地の四隅に広がり、地球の裏側にまで広がった。人々は霊においては一致していて、頭頂の中枢センターから互いに見て話すことができた。この扉がまだ開いていたので、彼らはソツクナングを身近に感じ、創造主タイオワに讃美の歌を捧げていた。
 しかし、獣と一緒に生活することは許されなかった。獣は野生化し、人々から離れていたのである。動物から離れたため、人は自分の仕事に励んだ。家を建て、村ができ、その間を結ぶ道路ができた。手でものをつくり、蟻人間のように食料を集めた。次に、交易を始め、互いにものを売買し始めた。
 問題が起き始めたのはこの頃である。必要なものは、すべて第二世界にあった。しかし、人々はそれ以上のものを求め始めた。人々は、不要なもののためにますます交易を進め、得れば得るほどますますものをほしがった。状態は深刻化した。それは、与えられたよき生活から自分が一歩一歩離れていることに、人々が気づかなかったからである。人々は、創造主へ讃美の歌を捧げることを忘れ、売り買いし蓄えたものを讃美し始めた。起こるべきことがやがて起こる。人々は争い始め、村同士の戦いが起こった。
 それでも、どの村にも創造主の歌をうたい続ける僅かな数の人々がいた。だが、悪しき人々はこの人たちを笑い者にしたので、彼らは心の中で歌うようになった。それでも、ソツクナングは、人々の波動センターと地球のそれとを通してこの歌声をきいていた。ある日、不意にソツクナングは彼らの前に現れた。
「あなた方の糸がこの世界の上で切れかかっている、とクモ女が訴えてきた。実に悪しきことである。クモ女はあなた方の指導者だった。そして、あなた方はこの情勢が始まるまで、よくぞ向上してきた。このようになった今、わたしと伯父のタイオワは何らかの策を講ずることに決めた。わたしたちは、あなた方を安全な場所に移してすぐに、第二の世界を滅ぼすことにする
 こうして、ふたたび第一の世界のときと同じく、ソツクナングは蟻人間に命じて人々を地下に避難させた。人々が安全に避難すると、ソツクナングは南極と北極をそれぞれ守っている双児のポカングホヤとバロンガウホヤに持ち場を離れるように命じた。
 双児が持ち場を離れると、世界はバランスを失い、回転が狂って二度もひっくり返った。山々は大音響とともに海になだれ込み、海と湖は陸に覆いかぶさった。そして、それらが冷たい生命なき空間を巡る間に、世界は厚い氷に閉ざされた
 トクパ、第二の世界はこうして終わりを告げた。

 第三の世界(クスクルザ)への出現(P42)

 第二の世界を形成していた元素のすべては、長いこと生命のない氷の中に閉ざされたままであった。しかし、地底では、人々が蟻人間とともに幸せに暮らしていた。
 ついにソツクナングは双児に、両極に戻るよう命令した。大きく身を震わせながら、惑星はふたたび回転し始めた。地球が地軸の周囲をなめらかに回転し宇宙の軌道に乗ると、氷はまた溶け始めて世界は温暖になった。ソツクナングは、第三の世界の創造を開始した。大地と海を整え、山々と平原に樹木を生い茂らせ、あらゆる形の生命を生んだ。
 こうして地球に人間が住めるころになると、ソツクナングは前のように正しい仕方でキバにやってきて、こういった。
「扉を開けよ。あなた方の出てくるときがきた」
 ふたたびヌタが外されると、彼は人々に助言を与えた。
「わたしはあなた方がこの新しい第三の世界にまた生きるよう、あなた方を救った。だが、あなた方がこの新しい第三の世界にまた生きるよう、あなた方を救った。あなた方はこれからいう二つのことをいつも覚えておかなくてはならない。まず、わたしを尊び、お互いを尊ぶこと。そして第二に、山々の上から調和に満ちた歌を歌うこと。創造主に対する讃歌が聞こえなくなったときには、あなた方がふたたび悪に陥ったときである。」
 こうして、人々は梯子を伝って蟻人間のキバから抜け出し、第三世界(クスクルザ)に出現した。

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第T部/第3章 第三の世界(クスクルザ) 大洪水による滅亡(P44)

 その名はクスクルザ
 方位は
 色は
 鉱物はパラシバ()。
 主なるものは、ピバ(タバコ)、アングウシ(カラス)、チョービオ(羚羊)。
 この世界でふたたび人類は増え広がり、生命の道の上を進み続けた。
 第一の世界では、人々は動物と一緒に素朴な生活をした。
 第二の世界では、手工品や家屋、村落を発展させた。
 第三の世界では、人々は大都市や国々、大文明を築くに至るほどにまで人口が増え、急速に発達した。
 しかし、このことが、創造の計画に従いタイオワとソツクナングに讃美の歌を送ることを、難しくさせる結果になった。人々は、ますます自分たち自身の地上的な計画に取り込まれるようになった。
 もちろん、人々の中には初めに授けられた知恵を保っている者たちもいた。彼らは、この知恵によって、人が生命の道から外れて発展すればするほど、事が困難になることを理解していたのだった。まさにこの理由のために彼らの世界は二度まで破壊され、初めからのやり直しを迫られたのである。あまりに多くの人々がその生産力を邪悪な方法で使っているため、彼らは特に心配になった。非常に多くの人々を堕落させる悪徳で世界的に有名になった女がいた。あまりに沢山の男たちが自分の愛顧を求めてトルコ石のネックレスをくれるので、地軸の先につながる梯子に巻きつかせられるほどだ、この女は豪語した。そこで、知恵ある人々は創造主への讃歌をいっそう声高にうたった。
 彼らにはほとんど耳を貸さない人々がほかにもいた。弓族の指導のもと、彼らは創造の力をもう一つの邪悪で破壊的な方向に向けた。恐らくは、あの女の影響によるものだろう。何人かはパツボタ(獣皮製の楯)をつくり、創造力を使ってこれを空に舞い上がらせた。これに乗って沢山の人が他の都市を攻撃し、どこからきたのかわからなほどの速さでまた帰ってくることができた。まもなく、多くの都市でパツボタ(獣皮製の楯)が製造され始め、人々はこれに乗って侵略しあうようになった。こうして、第三の世界も、かつてと同様に腐敗と戦争の場と化した。
 今回は、ソツクナングがクモ女のところにきてこう告げた。
「今度は、最後まで待つ必要はない。今すぐ手を打たないと、心の中に讃歌をうたい続けている者たちさえ汚されて、滅びてしまうだろう。ここまで破壊が進んでいると、私が指定する地の果てにまで彼らが辿り着くのは難しい。そこで、私が世界を水で滅ぼすときに、あなたは彼らを助けよ」
「どうやったら救えるのでしょう?」
 とクモ女はたずねた。
 ソツクナングはこう命じた。
「着いたらまわりをみなさい。中空になっている背の高い植物がみつかるはずです。これを切って人々を中にいれなさい。次にどうするかを教えます」
 クモ女は指示通りにした。葦を切り、その中の空間に人々を入れ、少量の水と食料としてフルスキ(トウモロコシの粉)も詰めて、封印をした。こうして全員が収容されるとソツクナングが現れた。
「さあ、彼らの面倒をみるためにあなたも中に入りなさい。わたしが封印する。それから世界を滅ぼそう」
 こうして、彼は地上の水の力を解いた。すると、山々よりも高い大波が陸地を襲い、陸という陸は破壊されて海中深く沈んだ。雨はなおも降り続き、波は荒れ狂った。
 中空の葦の中に封じられた人々は激しくぶつかり合う大波の音をきいた。空中に高く上げられ、それから海にまた落とされたような感じがした。すべてが静まり返っていた。そして長い間、いつ終わるとも知れぬほど長い間、彼らは海の上を漂い続けた。
 最後に動きが止まると、クモ女は葦の封印を解いて、人々を次々に頭から引き上げ、こう命じた。
「残っている食べ物をすべてとり出しなさい」
 人々はフルスキをとり出した。すると、ずっと食べ続けていたにもかかわらず、その分量は変わっていなかった。見渡すと、自分たちがかつての最高峰の山の峰にいることがわかった。ほかは、見渡す限り海である。第三の世界で唯一残された場所に彼らはいたのだ。
「乾いた陸地がどこかにあるに違いない」
 と彼らはいった。
「ソツクナングがわたしたちのために創造してくれた第四の世界が・・・」
 人々は沢山の鳥を次々に飛ばし、新しい陸を探させた。だが、どの鳥も疲れ果てて帰ってきた。次に、人々は天にまで延びる葦を植えて、その頂に登り海を見渡したが、どこにも陸は見られなかった。
 そうするうちに、ソツクナングが現れてクモ女にいった。
「あなた方は旅を続けなければならない。内なる知恵が導いてくれるだろう。頭頂の扉は開かれている」
 そこで、クモ女は葦で丸く平らな船をつくるよう人々に命じた。人々は船に乗り組み、海と彼らを導いてくれる内なる知恵に身を任せた。長い間、水の上を漂ってのち、ようやく岩の多い島に辿り着いた。
「他のところよりも大きいが、まだ十分ではない」
 と人々は周囲をみまわしながらいった。
「そうです。十分な大きさの陸ではありません」
 とクモ女はいった。
 そこで、人々日の出る方角に向かってさらに船を漕いだ。しばらくして、人々はいった。 「低い風の音がきこえます。陸に近づいているに違いない」
 やはり、陸はあった。そこは草や木、花の茂る美しい大きな陸のように思えた。彼らは長いことこの陸の上で疲れを休めた。ここに留まりたいという者もいたが、クモ女はこういった。 「この場所ではありません。旅を続けなければ」
 船を降りると、彼らは徒歩で島を東へ横断し水際に着いた。ここで、葦や竹のような中が空洞の食物が多く自生しているのを知り、これらを伐採した。クモ女の命令によって、これらを一列に並べ、上の段を交差させてツタで固く縛った。一家族が乗るに十分な筏が出来あがった。こうして、全員が乗れるだけの筏ができると、クモ女は櫂で漕ぐように命令した。
「これから上り坂になり、あなた方は自分でとる道を決めなくてはなりません。だから、ソツクナングは
 『遠くへ行けば行くほど道は険しくなる』
  といったのです」
 とクモ女はいった。
 長い旅ののち、人々は低い風の音をきき始めて、また陸地を見つけた。家族と部族は、次々と喜びの声をあげて上陸した。陸は広く美しかった。大地はなだらかで、肥沃であり、樹木や草、実を結ぶ木で覆われ、食べ物が豊かにあった。人々は喜び、そこに何年もいた。
 だが、クモ女はこう告げた。
「ここは第四の世界ではありません。生活するのにあまりに楽すぎます。あなたがたはふたたび邪悪な道に入ってしまうでしょう。進みなさい。道はさらに険しくなる、といわれています」  そこで、人々は嫌々、さらに東へ向けて向こう岸へと渡った。そこで彼らはまた、筏と櫂をつくった。出発の用意が整うと、クモ女はこのようにいった。
「私に命じられた仕事は終わりました。これからは、あなた方だけで旅を続け、陸をみつけるのです。あなた方の『扉』を開けたままにしておきなさい。聖霊が導いてくれます」
「クモ女さん、何から何までしてくださって有難う。あなたの言葉はいつまでも忘れません」
 と彼らは悲しげに答えた。
 人々は昼も夜も必死に筏を漕ぎ、やや北寄りの東へと進んだ。
 ついに彼らは陸をみつけた。海から高くそそり立ち、見渡す限り北と南に広がっている。大いなる力強い陸だ、と彼らの内なる知恵は告げた。
「第四の世界だ!」
 と人々は叫び合った。
 接近するにつれ、岸辺は切り立った高い山々の斜面となった。上陸できる場所はどこにもない。
「北に行こう。そうすれば出現の場所が見つかるだろう」
 と誰かがいった。そこで北に向かったが、山はますます高さを増してきた。
「だめだ、南に行こう。そうすれば出現の場所が見つかるはずだ」
 と誰かがいった。そこで、さらに何日もかけて南下したが、やはり山々は険しくなるばかりだった。
 途方に暮れた彼らは漕ぐのをやめて、頭頂の扉を開き、導かれるに任せた。すると、ほぼ同時に水の動きが収まり、穏やかな海流に筏が乗り始めた。まもなく、彼らは上陸し、砂浜で喜びをかみしめた。
「第四の世界だ。ついに出現の地に着いたのだ!」
 と誰もが叫んだ。
 まもなく他の人々も追いつき、全員が集まったところでソツクナングが現れた。
「よろしい。全員がこれで集まった。ここが、あなた方に用意しておいた場所である。あなた方のきた道をみてみよ」
 西と南に目をやると、自分たちの休んだ島々がみえた。
「あれは、あなた方の旅してきた跡である。わたしの滅ぼした第三の世界の高い山々の頂である。さあ、みよ」
 人々が見続けていると、一番近い島が海中に没した。まもなく、次の島が没し、ついに島々はすべて沈み去り、見えるは海ばかりとなった。
「見よ」
 とソツクナングはいった。
「わたしはあなた方の足跡さえも洗い流した。この海の底には、誇り高き都のすべて、空飛ぶパツボタ、悪に染まったこの世の富、山の頂から創造主に讃歌を捧げることに時間を使わなかった者たちが眠っている。だが、あなた方が出現の記憶と意味を保っていれば、いつかこれらの足跡がまた浮かび上がり、真実を告げてくれるときがくるだろう」
 これが、第三世界クスクルザの終わりである。

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第T部/第4章 第四の世界(ツワカキ) 完全なる世界に向けて(P50)

「分れる前に、いっておかなければならないことがある」
 ソツクナングは、第四の世界の岸辺に立っている人々に向かっていった。
「この第四の世界の名はツワカキ、つまり完全な世界である。その理由はいずれわかるだろう。かつての世界ほど美しくも、楽でもない。高いところや低いところ、熱と寒さ、美しいところや荒れたところがある。あなた方に選びとれるすべてのものがここにある。あなた方が何を選ぶかが、創造の計画を今度こそ遂行できるか、あるいはいつの日かふたたび世界を滅ぼすかを決定するのだ。さあ、あなた方は分れて違った道を進み、地のすべてを創造主のために所有せよ。あなた方のどの集団も、星のあとに従うように。星が停止した場所があなたがたの定住する場所である。行きなさい。あなた方は善霊から助けを得るだろう。あなた方の扉を開けたままにして、私が語ったことをいつも覚えておくようにしなさい」
 こうして、彼は姿を消した。
 人々が岸辺から離れ、内陸へと入っていくと、低い風の音がまた聞こえてきた。辺りを見渡すと、ハンサムな男が目に入った。
「あなたですか。音を立てたのは?」
 男はこう答えた。
「そうだ。あなた方が道を探せるよう、私が音を立てたのだ。わたしがわからないか。マサウだ。この陸地の守護者、世話役である」
 人々は、マサウを知っていた。彼は第三の世界の世話人の長だったのだが、やや尊大になり、創造主の御前で謙虚さを失ってしまったのである。霊であるため、彼は死ぬことができなかった。そこで、タイオワは彼をその役目から外し、死と地底世界の神としたのだった。この地底での仕事は地上ほど楽しいものではなかった。そこで、第三の世界が滅びたときに、タイオワは彼にもう一度チャンスを与え、次の第四の世界の世話人に抜擢したのである。
 この世界で出会った最初の存在だったため、人々はマサウを尊んだ。
「この陸地に住むことを許可してくださいますか?」
 と彼らはたずねた。
「よろしい。大地の所有者としてあなた方を許可しよう」
「指導者になっていただけますか?」
「それはできない。わたしより偉大なお方が、あなた方にはたすべき計画を与えているのだ。前の世界が海中に没したときに、この新しい陸が突き上げられて地球の背骨となった。あなた方がいるのは、その西側斜面だ。しかし、まだ移住は始まっていない。あなた方はまだ、星を追って定住する場所に辿り着く旅を始めていないのだ。わたしが指導者になる前にそれを終えていなくてはならない。しかし、あなた方がまた悪しき道に戻るならば、わたしは大地をとり上げてしまうだろう。わたしが世話役で守護者だからである。北に行くと、寒さと氷に出会うだろう。そこは、この陸の裏門にあたる。この裏門を通って入ってくる者たちは、わたしの許可を得ていない者たちだ。さあ、行ってわたしの許可によって土地を求めなさい」
 マサウが消え去ると、人々は集団に分れて移民を始めた。
「また会おう」
 と彼らは互いに呼びかけあった。
 われらが第四の世界は、こうして始まった。
 その名はツワカキ完全な世界)。
 方角は
 色はシクヤングプ(黄白色)。
 鉱物では、混じり合った鉱物シクヤパラ
 主なるものは、木ではジュニパー、鳥ではフクロウ、動物ではピューマ
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第T部/第一の世界から第四の世界のまとめ

 項目  第一世界  第二世界  第三世界  第四世界
 名称  無限宇宙(トクペラ)  トクパ  クスクルザ  完全ある世界(ツワカキ)
守る事  ただ一つ、あなた方に求めることがある。いついかなるときにも創造主を尊ぶこと。知恵と調和、そしてあなた方の創造主の愛を尊ぶことである。  創造主とその掟を心にとめなさい。創造主に対する讃美の歌がきかれるうちは、あなたがたはわたしの子であり、わたしに近い  あなた方はこれからいう二つのことをいつも覚えておかなくてはならない。まず、わたしを尊び、お互いを尊ぶこと。そして第二に、山々の上から調和に満ちた歌を歌うこと。創造主に対する讃歌が聞こえなくなったときには、あなた方がふたたび悪に陥ったときである。 〔ソツクナング〕あなた方が何を選ぶかが、創造の計画を今度こそ遂行できるか、あるいはいつの日かふたたび世界を滅ぼすかを決定するのだ。さあ、あなた方は分れて違った道を進み、地のすべてを創造主のために所有せよ。あなた方のどの集団も、星のあとに従うように。星が停止した場所があなたがたの定住する場所である。行きなさい。あなた方は善霊から助けを得るだろう。あなた方の扉を開けたままにして、私が語ったことをいつも覚えておくようにしなさい。
 特徴  人々は動物と一緒に素朴な生活をした。ラバホイヤ(お喋り)・モクニ(ツグミに似た鳥)が現れた。カトヤという美青年が大きな頭をもつ蛇の姿をとって現れた。  手工品や家屋、村落を発展させた  人々は大都市や国々、大文明を築くに至るほどにまで人口が増え、急速に発達した。  多くの人々を堕落させる悪徳で世界的に有名になった女がいた。  完全ある世界であることがこれからわかる
 原因  火山の噴火  地軸の回転、氷  洪水  ?
 方角  西  南  東  北
 色  黄  青  赤  黄白色
 鉱物  金  銀  銅  混じり合った鉱物シクヤパラ

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第U部 伝説 各部族の大移動〜永遠の地を求めて(P59)

第U部/第1章 聖なる石板の教え(P67)

 新しい第四の世界に現れたとき、人々は定住できそうなよい場所を見つけるまでは永住してはならない、といわれた。彼らの守護霊たるマサウは、移民するための方法、永住すべき場所をどう見つけるか、そこに辿り着いたときにどう生きるべきかを伝えた。このすべては、ホピに与えられた四枚の聖なる石板に、象徴的に記録された。

 マサウが主神である火族の聖なる石板と失われた兄パハナ(P67)

 石板の一つをマサウは「火族」に与えた。図2にみるように、これは黒っぽい石でできた10センチ角のごく小さなもので、隅が欠けている。片面には幾つかのシンボルが刻まれ、もう片面には頭のない男の姿がみえる。マサウは「火族」の主神で、彼の言葉の記録が保たれるよう、姿をかき消す直前にこの石板を残したのである。
 石板に記されたマサウのメッセージは、こうである。
「火族」が永住の家に移ってのち、見知らぬ人間に征服されるときがくる。彼らは新しい支配者の命令に従って生き、土地を開発するよう強いられる。さもないと罪人として扱われて罰せられる。だが、抵抗してはならない。救いをもたらす人を待たなければならない。
 その人とは、失われた兄パハナであり、彼は石板の欠けた部分をもって現われ、迫害者から彼らを救い、全世界に及ぶ新しい人類の兄弟関係を彼らとともに樹立する。だが、、とマサウは警告する。もし彼らのリーダーがほかの宗教を受け入れたときには、彼は首をはねられることになるだろう。これによって悪は除かれ、民は救われるのだ。
タイオワ

 主神サカムホナウが熊族に与えた第一の石板(P68)

「熊族」の主神サカムホナウは、第四の世界の指導的部族となる「熊族」に三つの石板を渡した。その最初の石板(図3)は小さく、片面には引っ掻いたような奇妙な図形が見える。サカムホナウによると、これは彼らが定住することになる永遠の村を取り巻く土地の様子を表わし、宗教儀式を守る部族すべてに割り当てられる土地の区画を示す。裏面には熊の足跡が二つある。これは、宗教用の地区を越える土地すべては熊族の管理下になること、彼らは食料として頼る動物界のためにそれを保護することを示している。
タイオワ

 主神サカムホナウが熊族に与えた第ニの石板(P68)

 熊族の第二の石板(図4)はやや大きく、表面には中央にトウモロコシの木、その周囲に二匹の蛇に囲まれて何頭かの動物たちが描かれている。四隅には、それぞれ腕を広げた男の絵がある。二匹の蛇は、土地の境界線を画す二本の河(コロラド川とリオ・グランデ川)を象徴する。腕を広げる四人の男は、

 主神サカムホナウが熊族に与えた第三の石板(P69)


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第U部/第1章 聖なる石板の教え(P67)



◆ひふみ神示 第13巻 雨の巻 / ( アメのキ)  第五帖 (三三九)
 三十年一切(ひときり)ぞ

◆ひふみ神示 第29巻 秋の巻 第一帖

 三十年で世の立替いたすぞ