『12番惑星 ニビルからやって来た宇宙人』と『霊界物語』|月の光

『霊界物語』と『聖書』における死海の出現

『12番惑星 ニビルからやって来た宇宙人』における死海の誕生(P566)

あいう

 一方、メソポタミアの年代記によれば、同じような事件が、エンキの息子マルドウクが、地球の支配権を手に入れようとした戦いのクライマックスに起きていた。追放生活を送っていたマルドウクは、息子のナブに、西アジアの人々をマルドウクの臣下に転向させる役割を与えた。いくつかの小競り合いの後、強力なナブの軍隊は、メソポタミアを征服し、マルドウクをバビロンに帰還させることができた。そこで、マルドウクは、バビロンを「神々の通路」にする意向を宣言した。
 これに驚いたアウンナキの「枢密院」は、早速、緊急会議をエンリルの議長のもとで開いた。ニヌルタ(エンリルの息子)とネルガル(エンキの息子だが一族と仲たがいしていた)は、マルドウクを制止するための過激な行動を起こすように、盛んに提議した。エンキはこれに猛反対したが、イシュタルは、こうした討議が行われている間にも、マルドウクが次から次に都市を奪っていると指摘した。そこで、「保安官たち」が、ナブを捕えるために派遣されたが、ナブは逃れて、臣下とともに「罪多き都市」の一つに身を隠した。こうしてついに、ニヌルタとネルガルが、秘密の隠し場所から、恐ろしい核兵器を持ち出して、使用することを認められた。その核兵器で、シナイの宇宙空港をマルドウクの手に落ちないように破壊するとともに、ナブが隠れている地域一帯も殲滅することになった。
 激しい非難も含めて、議論は白熱したが、とうとう紀元前2024年に、核兵器が使用された。
 この詳細は、学者たちが、「エラの抒情詩」と呼んでいる古文書に記録されている。
 その記録の中では、ネルガルは、エラ(吠える人)、ニヌルタは、イシュム(焦がす人)と呼ばれている。ひとたび彼らに攻撃命令が発せられると、「恐るべき、比類なき、7つの原子爆弾」を携えて、彼らは「至高なる山」の近くの宇宙空港へ向かった。宇宙空港の破壊はニヌルタ/イシュムによって行われた。
「彼は手を挙げ、山は叩き潰され、”至高なる山”の緑地も抹殺され、森には木の幹さえ残らなかった」
 という。
 今度は、罪深き都市を破壊する番だった。この任務は、ネルガル/エラによって遂行された。シナイや紅海をメソポタミアとつなぐ「王のハイウエイ」を通り、その場所に着いた。

 イシュムに負けじと
 エラは、王の道を急ぎ
 彼は、その都市を破壊し
 荒れ果てた都を後にした

 原爆を使ったために、砂の城壁に口が開いて、今でも一部分が舌の形(エル・リッサンと呼ばれる)で残っている。そして、「塩の海」の水が、南のほうへとあふれて、低地を水浸しにした。
 古文書には、ネルガル/エラは、「海を掘り、完全に分割した」と記録されている。
 そして、原爆は、「塩の海」を現在の「死海」に変えてしまった。
「彼は、海の中で生きていたものを滅ぼした」。
 かつて、青々と茂っていた平野の「生き物を、火で焼き殺し、穀物も焼いて灰にしてしまった。」

 ところで、大洪水の物語の場合は、神々の役割は明快である。従って、『聖書』とシュメールの古文書の記述を比較することによって、誰がヤハウエで、誰がそうでないかが、はっきりわかるのだ。
 メソポタミアの古文書から、罪深き都市を破壊したのは、ネルガルで、ニヌルタではなかったことがはっきりしている。一方、『聖書』では、これらの都市を破壊したのは、状況を調べた2人の天使たちではなく、ヤハウエ自身が、天から鉄槌を下したと述べられている。
 つまり、ヤハウエは、ニヌルタではありえないことになる。
 「創世記」の第10章を参照すると、ニムロドが、メソポタミアの王朝を創設したとなっているが、以前、我々が検討した際には、王朝創設者は人間の王ではなく、神だった。

あいう

「創世記」18章ソドムとゴモラ

あいう

〔18:1〕主はマムレのテレビンの木のかたわらでアブラハムに現れられた。それは昼の暑いころで、彼は天幕の入口にすわっていたが、〔18:2〕目を上げて見ると、三人の人が彼に向かって立っていた。彼はこれを見て、天幕の入口から走って行って彼らを迎え、地に身をかがめて、言った、
〔18:3〕「わが主よ、もしわたしがあなたの前に恵みを得ているなら、どうぞしもべを通り過ごさないでください。
〔18:4〕水をすこし取ってこさせますから、あなたがたは足を洗って、この木の下でお休みください。
〔18:5〕わたしは一口のパンを取ってきます。元気をつけて、それからお出かけください。せっかくしもべの所においでになったのですから」。
 彼らは言った、
「お言葉どおりにしてください」。
〔18:6〕そこでアブラハムは急いで天幕に入り、サラの所に行って言った、
「急いで細かい麦粉三セヤをとり、こねてパンを造りなさい」。
〔18:7〕アブラハムは牛の群れに走って行き、柔らかな良い子牛を取って若者に渡したので、急いで調理した。
〔18:8〕そしてアブラハムは凝乳と牛乳および子牛の調理したものを取って、彼らの前に供え、木の下で彼らのかたわらに立って給仕し、彼らは食事した。
〔18:9〕彼らはアブラハムに言った、
「あなたの妻サラはどこにおられますか」。
 彼は言った、
「天幕の中です」。
〔18:10〕そのひとりが言った、 「来年の春、わたしはかならずあなたの所に帰ってきましょう。その時、あなたの妻サラには男の子が生れているでしょう」。
 サラはうしろの方の天幕の入口で聞いていた。
〔18:11〕さてアブラハムとサラとは年がすすみ、老人となり、サラは女の月のものが、すでに止まっていた。
〔18:12〕それでサラは心の中で笑って言った、
「わたしは衰え、主人もまた老人であるのに、わたしに楽しみなどありえようか」。
〔18:13〕主はアブラハムに言われた、
「なぜサラは、わたしは老人であるのに、どうして子を産むことができようかと言って笑ったのか。 〔18:14〕主にとって不可能なことがありましょうか。来年の春、定めの時に、わたしはあなたの所に帰ってきます。そのときサラには男の子が生れているでしょう」。
〔18:15〕サラは恐れたので、これを打ち消して言った、
「わたしは笑いません」。
 主は言われた、
「いや、あなたは笑いました」。
〔18:16〕その人々はそこを立ってソドムの方に向かったので、アブラハムは彼らを見送って共に行った。
〔18:17〕時に主は言われた、
「わたしのしようとする事をアブラハムに隠してよいであろうか。〔18:18〕アブラハムは必ず大きな強い国民となって、地のすべての民がみな、彼によって祝福を受けるのではないか。 〔18:19〕わたしは彼が後の子らと家族とに命じて主の道を守らせ、正義と公道とを行わせるために彼を知ったのである。これは主がかつてアブラハムについて言った事を彼の上に臨ませるためである」。
〔18:20〕主はまた言われた、
ソドムゴモラの叫びは大きく、またその罪は非常に重いので、〔18:21〕わたしはいま下って、わたしに届いた叫びのとおりに、すべて彼らがおこなっているかどうかを見て、それを知ろう」。
〔18:22〕その人々はそこから身を巡らしてソドムの方に行ったが、アブラハムはなお、主の前に立っていた。 〔18:23〕アブラハムは近寄って言った、
「まことにあなたは正しい者を、悪い者と一緒に滅ぼされるのですか。
〔18:24〕たとい、あの町に五十人の正しい者があっても、あなたはなお、その所を滅ぼし、その中にいる五十人の正しい者のためにこれをゆるされないのですか。
〔18:25〕正しい者と悪い者とを一緒に殺すようなことを、あなたは決してなさらないでしょう。正しい者と悪い者とを同じようにすることも、あなたは決してなさらないでしょう。全地をさばく者は公義を行うべきではありませんか」。
〔18:26〕主は言われた、
「もしソドムで町の中に五十人の正しい者があったら、その人々のためにその所をすべてゆるそう」。
〔18:27〕アブラハムは答えて言った、
「わたしはちり灰に過ぎませんが、あえてわが主に申します。
〔18:28〕もし五十人の正しい者のうち五人欠けたなら、その五人欠けたために町を全く滅ぼされますか」。主は言われた、「もしそこに四十五人いたら、滅ぼさないであろう」。
〔18:29〕アブラハムはまた重ねて主に言った、
「もしそこに四十人いたら」。
 主は言われた、
「その四十人のために、これをしないであろう」。
〔18:30〕アブラハムは言った、
「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしは申します。もしそこに三十人いたら」。
 主は言われた、
「そこに三十人いたら、これをしないであろう」。
〔18:31〕アブラハムは言った、
「いまわたしはあえてわが主に申します。もしそこに二十人いたら」。
 主は言われた、
「わたしはその二十人のために滅ぼさないであろう」。
〔18:32〕アブラハムは言った、
「わが主よ、どうかお怒りにならぬよう。わたしはいま一度申します、もしそこに十人いたら」。
 主は言われた、
「わたしはその十人のために滅ぼさないであろう」。
〔18:33〕主はアブラハムと語り終り、去って行かれた。アブラハムは自分の所に帰った。

「創世記」19章ソドムとゴモラ

〔19:1〕そのふたりのみ使は夕暮にソドムに着いた。そのときロトはソドムの門にすわっていた。ロトは彼らを見て、立って迎え、地に伏して、言った、
〔19:2〕「わが主よ、どうぞしもべの家に立寄って足を洗い、お泊まりください。そして朝早く起きてお立ちください」。
 彼らは言った、
「いや、われわれは広場で夜を過ごします」。
〔19:3〕しかしロトがしいて勧めたので、彼らはついに彼の所に寄り、家にはいった。ロトは彼らのためにふるまいを設け、種入れぬパンを焼いて食べさせた。
〔19:4〕ところが彼らの寝ないうちに、ソドムの町の人々は、若い者も老人も、民がみな四方からきて、その家を囲み、ロトに叫んで言った、
〔19:5〕「今夜おまえの所にきた人々はどこにいるか。それをここに出しなさい。われわれは彼らを知るであろう」。
〔19:6〕ロトは入口におる彼らの所に出て行き、うしろの戸を閉じて、言った、
〔19:7〕「兄弟たちよ、どうか悪い事はしないでください。
〔19:8〕わたしにまだ男を知らない娘がふたりあります。わたしはこれをあなたがたに、さし出しますから、好きなようにしてください。ただ、わたしの屋根の下にはいったこの人たちには、何もしないでください」。
〔19:9〕彼らは言った、
「退け」。
 また言った、
「この男は渡ってきたよそ者であるのに、いつも、さばきびとになろうとする。それで、われわれは彼らに加えるよりも、おまえに多くの害を加えよう」。
 彼らはロトの身に激しく迫り、進み寄って戸を破ろうとした。
〔19:10〕その時、かのふたりは手を伸べてロトを家の内に引き入れ、戸を閉じた。
〔19:11〕そして家の入口におる人々を、老若の別なく打って目をくらましたので、彼らは入口を捜すのに疲れた。
〔19:12〕ふたりはロトに言った、
「ほかにあなたの身内の者がここにおりますか。あなたのむこ、むすこ、娘およびこの町におるあなたの身内の者を、皆ここから連れ出しなさい。
〔19:13〕われわれがこの所を滅ぼそうとしているからです。人々の叫びが主の前に大きくなり、主はこの所を滅ぼすために、われわれをつかわされたのです」。
〔19:14〕そこでロトは出て行って、その娘たちをめとるむこたちに告げて言った、
「立ってこの所から出なさい。主がこの町を滅ぼされます」。
 しかしそれはむこたちには戯むれごとに思えた。
〔19:15〕夜が明けて、み使たちはロトを促して言った
「立って、ここにいるあなたの妻とふたりの娘とを連れ出しなさい。そうしなければ、あなたもこの町の不義のために滅ぼされるでしょう」。
〔19:16〕彼はためらっていたが、主は彼にあわれみを施されたので、かのふたりは彼の手と、その妻の手と、ふたりの娘の手を取って連れ出し、町の外に置いた。
〔19:17〕彼らを外に連れ出した時そのひとりは言った、
「のがれて、自分の命を救いなさい。うしろをふりかえって見てはならない。低地にはどこにも立ち止まってはならない。山にのがれなさい。そうしなければ、あなたは滅びます」。
〔19:18〕ロトは彼らに言った、
「わが主よ、どうか、そうさせないでください。
〔19:19〕しもべはすでにあなたの前に恵みを得ました。あなたはわたしの命を救って、大いなるいつくしみを施されました。しかしわたしは山まではのがれる事ができません。災が身に追い迫ってわたしは死ぬでしょう。
〔19:20〕あの町をごらんなさい。逃げていくのに近く、また小さい町です。どうかわたしをそこにのがれさせてください。それは小さいではありませんか。そうすればわたしの命は助かるでしょう」。
〔19:21〕み使は彼に言った、
「わたしはこの事でもあなたの願いをいれて、あなたの言うその町は滅ぼしません。
〔19:22〕急いでそこへのがれなさい。あなたがそこに着くまでは、わたしは何事もすることができません」。
 これによって、その町の名はゾアルと呼ばれた。
〔19:23〕ロトがゾアルに着いた時、日は地の上にのぼった。
〔19:24〕主は硫黄と火とを主の所すなわち天からソドムゴモラの上に降らせて、
〔19:25〕これらの町と、すべての低地と、その町々のすべての住民と、その地にはえている物を、ことごとく滅ぼされた。
〔19:26〕しかしロトの妻はうしろを顧みたので塩の柱になった。
〔19:27〕アブラハムは朝早く起き、さきに主の前に立った所に行って、
〔19:28〕ソドムゴモラの方、および低地の全面をながめると、その地の煙が、かまどの煙のように立ちのぼっていた。
〔19:29〕こうして神が低地の町々をこぼたれた時、すなわちロトの住んでいた町々を滅ぼされた時、神はアブラハムを覚えて、その滅びの中からロトを救い出された。
〔19:30〕ロトはゾアルを出て上り、ふたりの娘と共に山に住んだ。ゾアルに住むのを恐れたからである。彼はふたりの娘と共に、ほら穴の中に住んだ。
〔19:31〕時に姉が妹に言った、
「わたしたちの父は老い、またこの地には世のならわしのように、わたしたちの所に来る男はいません。
〔19:32〕さあ、父に酒を飲ませ、共に寝て、父によって子を残しましょう」。
〔19:33〕彼女たちはその夜、父に酒を飲ませ、姉がはいって父と共に寝た。ロトは娘が寝たのも、起きたのも知らなかった。
〔19:34〕あくる日、姉は妹に言った、
「わたしは昨夜、父と寝ました。わたしたちは今夜もまた父に酒を飲ませましょう。そしてあなたがはいって共に寝なさい。わたしたちは父によって子を残しましょう」。
〔19:35〕彼らはその夜もまた父に酒を飲ませ、妹が行って父と共に寝た。ロトは娘の寝たのも、起きたのも知らなかった。
〔19:36〕こうしてロトのふたりの娘たちは父によってはらんだ。
〔19:37〕姉娘は子を産み、その名をモアブと名づけた。これは今のモアブびとの先祖である。
〔19:38〕妹もまた子を産んで、その名をベニアンミと名づけた。これは今のアンモンびとの先祖である。

『霊主体従』第一巻(子の巻)第四七章 エデン城塞陥落

あいう

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 第四七章 エデン城塞陥落

 (※)鬼熊の役回りがアン・ズウ(天を知る者)に似ている。

 高杉別、森鷹彦が重用されるようになったことを、武熊別は面白からず思っていた。そして高杉別、森鷹彦を滅ぼそうと、ひそかにウラル山の鬼熊と通じた。
 鬼熊は妻の鬼姫に策を授けて竜宮城に潜入させた。鬼姫は稚姫君命、大八洲彦命の信任を得るようになり、その結果、鬼熊は竜宮城への出入りを許されるようになった。
 ところで、鬼熊夫婦には月彦という心の麗しい息子がいた。邪神夫婦にも、このような清らかな子が生まれることがあるのである。月彦は稚姫君命のお気に入りとなった。
 稚姫君命は国常立尊の神命によって月彦、真倉彦を伴って沓島に渡り、魔軍鎮定の神業を行った。このとき秋津島根に邪竜・邪神軍が攻め寄せたが、神軍によって邪竜は殲滅された。
 しかし地上にはびこる邪神軍は勢いが激しく、鎮定の目処が立たないままであった。地上の邪神軍は、実は鬼熊の部下のウラル山の悪霊たちであった。
 竜宮城には、稚姫君命の留守として、大八洲彦命をはじめ、竹熊、高杉別、森鷹彦らも守りを固めていた。武熊別はこの好機に竹熊、高杉別、森鷹彦を滅ぼそうと、鬼熊夫婦に、大八洲彦命と竹熊が、ウラル山に侵攻して鬼熊を滅ぼす計画を練っている、と嘘の情報を流して、けしかけた。
 鬼熊は怒って、まず邪神軍を竹熊のエデン城に向けて駆り、襲撃した。竹熊は竜宮城の守備についていたため、エデン城は簡単に鬼熊の手に落ちた。

『霊主体従』第一巻(子の巻)第四八章 鬼熊終焉

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 第四八章 鬼熊終焉

 エデン城を奪取した鬼熊夫婦は、竜宮城の裏口からひそかに潜入した。
 そして、今度は病に伏せっている大八洲彦命を二人で襲撃した。
 鬼熊夫婦が大八洲彦命の籠もる部屋を打ち破ろうとしているとき、竜宮城の諸神司が駆けつけて、二人を取り押さえた。そこへ竹熊が現れて、鬼熊に鉄槌を打ち下した。また、真澄姫と竜代姫は、鬼熊を茨の鞭で打ちすえた。
 大八洲彦命は驚いて病床より立ち上がって部屋を出ると、この惨状に出くわした。そして怒って、鬼熊を打った無法者は誰だ、と詰問した。
 鬼熊は自分を打った者が竹熊だとはわからなかったので、竜世姫、高杉別、虎彦の名を挙げたが、事件の目撃者である小島別が、竹熊の仕業であると証言した。
 稚姫君命はそれを聞くと怒って、竹熊を根の国底の国に下そうとした。
 大八洲彦命は、このような不祥事が生じたのも、自分の不注意のせいであるので、代わりに自分を根底の国に落とすよう、涙ながらに嘆願した。稚姫君命は大八洲彦命の真心に感じ、この場はお咎めなしとした。
 しかし鬼熊はこの負傷が原因で落命してしまった。
 鬼姫は竹熊の仕打ちを恨んで、武熊別と組んで弔い合戦を計画していた。また、鬼熊の怨霊は凝って、ウラル山の黒竜となった。

『霊主体従』第一巻(子の巻)第四九章 バイカル湖の出現

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 第四九章 バイカル湖の出現

 竹熊は一度はお咎めなしとされたが、衆神人の手前、竜宮城への出入りは禁止されざることになった。居城であるエデン城に帰ろうにも、エデン城は鬼姫に占拠されていて帰れない。
 また、高杉別、森鷹彦は竹熊に反抗するようになり、竜宮城の門扉を固く閉ざし、今までの竹熊の暴虐をののしる有様であった。
 仕方なく竹熊は鬼城山に割拠する木常姫に救援を求めた。木常姫は竹熊を受け入れ、軍をエデン城に進めた。木常姫は雨を呼んでヨルダン河を氾濫させ、エデン城を水攻めにした。
 鬼姫は旗色の悪さに、十個の黄金水の珠と二個の偽珠を持って、竜の姿に変じて城を脱出し、ウラル山目指して逃げていった。
 そこへ国常立尊の命により、奇晴彦、村雲別は火竜となって鬼姫を取り囲み、前後左右から炎を吹いて攻め立てた。
 鬼姫軍は力尽きて地上に落下し、大震動とともに長大な湖水が生じることになった。
 これがロシアのバイカル湖である。
 鬼姫はバイカル湖の黒竜と変じ、後には杵築姫となって竜宮城をつけ狙うことになった。

『霊主体従』第一巻(子の巻)第五十章 死海の出現

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 第五〇章 死海の出現

 鬼熊・鬼姫が竹熊との争いに敗れたことで、竜宮城はやや安静になった。国常立尊はこの功績により、稚姫君命と大八洲彦命に霊国天使の神位を授けた。
 竹熊は高杉別、森鷹彦の裏切りを恨み、両神を滅ぼそうと考えたが、そのためには両神の上に立つ大八洲彦命を滅ぼそうと画策していたのである。
 これを知った大八洲彦命は、竜宮城の守りを部下に固めさせると、高杉別森鷹彦時代彦らの神将を従えてシオン山に出発した。そして天神に竹熊の暴虐を奏上した。諸天神はこれを受けて、竹熊征伐の神策を定めた。
 天上の天使・天明彦命大八洲彦命に、危機一髪の場合は、天軍の応援があるだろう、と伝え、頭槌(くぶつち)の玉を授けた。玉を三個授けると、この精霊で魔軍を掃討するように、と神示を下して天に帰って行った。
 そのとき、竹熊・木常姫連合軍は竜宮城を取り囲んでいたが、守備の神将たちの活躍によって攻めあぐんでいた。竹熊、木常姫は大八洲彦命がシオン山に居ることを知ると、軍を返してシオン山に攻め寄せた。
 竹熊らは空中からシオン山の大八洲彦命に攻め寄せたが、大八洲彦命は頭槌の玉の一個を、魔軍に向かって投げつけた。すると玉は爆発して数万の黄竜となり、竹熊を取り囲んだ。力尽きた竹熊は十個の黄金水の玉とともに地上に落下した。
 落下した竹熊が体勢を立て直そうとするところへ、金勝要神、未姫命の二柱が天の逆鉾を竹熊に向かって投げつけた。二つの逆鉾は竹熊を貫き、竹熊はその場に息絶えた。
 竹熊の血はあふれて湖水となった。
 これを死海という。
 竹熊の悪霊は棒振彦となって、大八洲彦命を執念深く悩ますことになる。
 竹熊の部下たちも死海の怨霊となって世界に広がり、水死の災厄をもたらし続けている。
 一方、大八洲彦命はさらに頭槌の玉を木常姫軍に投げつけると、玉の爆発の神威に打たれた魔軍は墜落して最期を遂げた。木常姫の悪霊はのちに高虎姫となって、棒振彦とともに、大八洲彦命を悩ますことになる。
 竹熊の所持していた黄金水の十個の玉と、二個の偽玉は死海に沈んだ。
 そして竹熊の血に汚されて悪霊と化し、雲気となって舞い上ると世界各地に墜落して邪気を散布した。これらの玉が散布した地は、もっとも国魂の悪しき土地となってしまった。

『霊主体従』に登場する宝玉

 http://www.onisavulo.jp/modules/ond/index.php?content_id=222

(1)三個の宝珠
「真澄の珠」「潮満の珠」「潮干の珠」の三つ。
 第1巻第23章以降に出てくる。
「真澄の珠」は「地の高天原」の国祖の神殿に保管されている。
「潮満の珠」「潮干の珠」(二つ合わせて「満干の珠」と呼ぶ)は竜宮城に保管されている。この三つの玉を狙って邪神と正神が戦争になるのだ。
 最終的に国祖の命令で、潮満・潮干の珠は冠島に、真澄の珠は沓島に隠された〔第1巻第35章〕。
 これらは世界の終末に際して世界改造のために使われる玉で、これを使用する御神業が「一輪の秘密」と呼ばれる。

(2)顕国の御玉
 この玉は、天地剖判の時に宇宙で一番最初に誕生した星巌である。
 表側は紫で、中心には赤、白、青の三つの宝玉が深く包まれているのが、外から透き通って見える。赤は太陽、白は月、青は地球と考えると、小宇宙のメタファーと言えるだろう。
 最初はシオン山ざんの山頂に祭られていたが、竜宮城に運ばれて来て「三重の金殿」の中に奉納された〔第1巻第37〜38章〕。
 国祖隠退後の大洪水の際には、顕国の御玉が安置されているこの三重の金殿から「天の浮橋」が天空に延びて、地上の神々を救済することになる〔第5〜6巻〕。

(3)黄金水の十二個の玉
 霊界物語に十二個セットの玉が三種類出てくる。
「黄金水の十二個の玉」
「太白星の十二個の玉」
「天教山の十二個の玉」の三種類である。
 まずは黄金水の十二個の玉から。
 黄金水というのは竜宮城内にある「真奈井」という井戸の水のことだ。
 顕国の御玉が竜宮城に運ばれて来て、まばゆいばかりに光り輝くと、黄金水が感応し、十二個のそれぞれ色の異なる玉が生まれた。
 これが黄金水の十二個の玉である。
 竜宮城の従臣たちが一個ずつ保管していたが、悪神の竹熊一派によって十個まで奪われてしまう。
 古代イスラエルの「失われた十部族」を想起させるシチュエーションだ。
 最後に竹熊は戦闘で敗れ、十二個の玉と共に死海に沈んでしまう〔第1巻50章〕。
 しかしこのうち本物は十個だけで、他の二個は偽の玉だった。
 竹熊に奪われるのを防ぐため、一個はひそかに天使長(大八洲彦命おほやしまひこのみこと)に献上され、もう一個(瑠璃光色るりこうしょくの玉)は「地中海の一ひとつ島じま」(サルジニア島)に隠された〔第1巻第46章、第5巻第33章〕。

(4)太白星の十二個の玉
 太白星(金星)の精霊・生代姫命いくよひめのみことが地球に与えた玉だ。
 始めはシオン山の山頂に祭られていたが、後に世界十二ヶ所に一個ずつ国玉(国魂)として祭られた〔第2巻第39〜40章、第3巻第2章〕。
 このうち2個はオノコロ島に遷座された。
 長白山(白頭山)に祭っていた白色の玉は「天教山」(富士山)に、また青雲山の黄金の玉は「桶伏山」(綾部の本宮山)に移されたのだが、そこには何か深い意味が込められているようだ〔第6巻第14章、第41章〕。

(5)天教山の十二個の玉
 天教山が爆発した時に光を放って空から落ちてきた十一個の玉に、黄金水の瑠璃光色の玉を加えた計十二個の玉である。これは天の磐船で「地教山」(ヒマラヤ)に運ばれた〔第5巻第33章〕。

(6)五つの玉(三五の玉)
 竜宮島(オーストラリア)の「諏訪の湖」に鎮まる玉依姫命が献上した五個の玉だ〔第24〜25巻〕。
 色は青、赤、紫、白、黄色で、それぞれ天、火、結、水、地を示す。
 綾の聖地の「錦の宮」に運ばれ、玉が入っている箱を開けて役員・信者にお披露目した時に、何と五つのうち四つまでが石コロとすり替えられていた〔第27巻第5章〕。
 この失われた四つの玉を探して、再び高姫たちは海外に旅立つ〔第27〜35巻〕。
 この玉は実は神素盞嗚大神の深い神策で、錦の宮の教主(言依別命)によってある場所に隠されていた。
 なぜそういう仕組しぐみをしたのか、その謎が後に解き明かされる〔第33巻第17章〕。

(7)琉球の玉
 琉球の竜神夫婦(大竜別・大竜姫)が三五教に献上した二つの玉だ。
 言依別命と国依別の二人が、玉の精霊だけを体に吸い取り、形骸としての玉はオノコロ島に運ばれた。
 そして「琉の玉」は「生田の森」(神戸・生田神社)に、「球の玉」は「玉留島」(和歌山・玉津島神社)に祭られた〔第27巻第13・16章、第33巻第26章〕。
「祭られた」と言っても霊界物語のストーリーの中での話だが、実在の歴史の中ではどのように顕れているのかは判っていない。

(8)竜王の三個の玉
 八大竜王のうち、タクシャカ竜王、サーガラ竜王、ウバナンダ竜王が保管していた玉である〔第60巻第10章、第63巻第14章〕。
 タクシャカ竜王は海王星から地球にやって来て、胞場姫、天足彦を堕落させた悪しき神霊だ。