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黄泉返りの禊で左手の腕輪から生まれた神を祀る当所神社、當所神社(とうしょ)
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当所神社、當所神社(とうしょ)の拝殿
ご祭神
奥津那藝佐毘古 ( おきつなぎさひこ ) 神奥津甲斐辨羅 ( おきつかひべら ) 神
奥疎 ( おきざかる ) 神
当所神社、當所神社(とうしょ)の本殿
『阿波志』に記録されている当所神社
この記事は右のページの引用です。 http://kaiyo2014.seesaa.net/article/388161065.html
阿波志に「伊島祠、伊島にあり、石を以て主となす。島を挙げて之を祀る」
とある。
昔、漁師の網に奇岩がかかり、何度捨てても網に入った。
不思議に思って持ち帰ったが、触れると海が荒れた。
占うと
「我は 奥津那藝佐毘古 ( おきつなぎさひこ ) 神、 奥津甲斐辨羅 ( おきつかひべら ) 神、 奥疎 ( おきざかる ) 神なり」
とのことだったので、氏神として祀ったという。
伊島神社、あるいは伊島大明神と呼ばれていたが、明治になって当所神社と名を改めた。
「漂着神」あるいは「訪問神」の言い伝えであるが、この3神は、イザナギの命が黄泉の国から帰って来て禊ぎをした時、先ず穢れた衣類を投げ捨てたところ12神が生まれ、そのうち、左手の腕輪から生まれたのがこの3神で、この神を祀る神社は他に無いらしい。
あの世の穢れには、この世にはない知恵や能力が潜んでいると考えられたのだろうか。
伊島随一の絶景が「カベヘラ」といわれるのは、奥津甲斐辨羅神に由来するのではないかという説もある。
阿南市福井町の金比羅神社境内には八坂神社があるが、この御神体は伊島の漁師の網にかかった石だといわれ、伊島からの参詣者があったらしい。
祭神はスサノオ命である。壬申戸籍には、この年(明治5年=1872)の伊島・当所神社の神職は下福井村・福谷朝祝(24)とある。
伊島の北端、卒塔婆崖にある観音堂は、平安時代に空也上人が創建したとされる。
僧渡浜に上陸したといわれることから、当時は伊島湿原や弁天島のある島の西岸に人が住んでいたのではないかと思われる。
伊島は、南海道が官道とされた8世紀以降、重要な地になっていたと思われる。
官道というのは、地方の税金を中央に運ぶためのものであり、当然のこととして、それを襲う海賊が発生した。
伊島は、地理的に和歌山県・日ノ岬に相対して、紀伊水道の第一関門となっている。
放置すれば、海賊の格好の根城になったはずであり、朝廷は一定の水上戦力をこの地に滞在させたと考えられる。
中世の「古城記」には、伊島城があって、主将は小笠原刑部亮となっている。
しかし、伊島にはあまり古い歴史は残されていないそうだ。何回かの津波にも洗われて、遺跡も古文書も失われたのかもしれない。
「伊島風土記」によれば、古墳時代の土器片も発見されているが、古くから人が住んでいたことを証明するだけで、それ以上のことは分からない。
近世の伊島は、天正13年(1585)に森甚五兵衛の所領となり、5代目甚五兵衛村純の命で、神野惣右衛門が承応3年(1650)頃から開拓したという。
文化年間(1800頃)には48戸があった。
ただし、「阿波志」には
「国初め獲する所の韓人を放つ、其の裔、今別れて48戸となる」
とあり、森甚五兵衛は朝鮮から連れ帰った捕虜らを当初からこの島に隔離居住させていたものと思われる。
寛政8年(1796)、伊島には3軒の網元があって、漁業を行っていた。
大屋(神野)、中屋、三軒屋である。
中でも大屋と中屋の勢力が大きく、伊島の漁業を2分していたらしい。
元治元年(1864)には96戸、573人が住んでいた。
かつては3寺があったとされるが、現在は松林寺があるだけである。
松林寺の開基は不明である。
過去帳には1680年頃から記録がみられるという。
松林寺は、入口にあご地蔵があり、階段脇には本堂である大悲殿が建つ。
真新しい石碑があって「中興 辻善雅上人」とある。
「伊島風土記」が「まれにみる誠実」と称えた住職はすでに亡くなられたようだ。
さらに登った奥に鐘楼があって、鐘が二つある。一つは地面に据えられていた。
寺の北には三昧の地蔵堂がある。
内部に6地蔵が並んでいる。文化11年(1814)に建てられたものという。
横に200基ほどの寄せ墓がある。学校の前の道は「葬蓮道」と呼ばれていて、野辺の送りの行列が通る。
地蔵堂に達して3回回り、ここで葬式が行われる。
六道の辻に地蔵菩薩の分身が立って、死者を浄土へと導く。
阿南市伊島の全体図
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