罔象女宮としての伝承を失った貴船神社の奥宮【2】神社に掲載されている由緒書き|京都府

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京都府京都市左京区鞍馬貴船町( マピオンによる広域地図
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神社に掲載されている由緒書き

神社に掲載されている由緒書き

由緒書き

貴船神社奥宮

 当地は、貴船神社が当初創建されたところで、当社の祭神も本宮と同様、雨や水をつかさどる神、高龗神(たかおかみかみ)である。
 社伝によれば、「反正天皇の時代(5世紀初め頃)に、玉依姫(神武天皇の母)が黄船に乗って浪速(大坂)から淀川、鴨川、貴船川をさかのぼって当地に上陸したが、そこに祠を営んで水神をまつったのが当社の起こりである」とのことで、地名および社名の起源をこの「黄船」に求める説もある。
 境内の本殿横には、この伝説にまつわる船形石があり、これを積み囲んだ小石を持ち帰ると航海安全につながるとされた。
 また本殿下には巨大な龍穴(縦穴)があり、文久年間(19世紀中頃)の本殿修理の際、大工があやまってノミをこの中へ落としたところ、一天にわかにかき曇り、風が吹きすさんでノミを空中へ吹き上げたという。
 このほか、宇治の橘姫の奇談や和泉式部の恋願成就など、当社にまつわる逸話は数多い。
 なお、当社境内周辺には、1985(昭和60)年6月に京都市指定天然記念物に指定されたカツラをはじめ、高木が数多く見られ、自然の宝庫としても興味深いところでもある。
 

貴船と「鉄輪(かなわ)」伝説

貴船と「鉄輪(かなわ)」伝説
 当社は古来より水ノ神として崇敬され祭神として高龗神(たかおかみのかみ)を祀り、心願成就信仰としての、「丑ノ刻詣」で知られている。
 むかし宇治の橋姫が丑ノ刻(午前2時)詣りをして男に呪いをかけた伝説があり、これをもとにつくられたのが謡曲「鉄輪(かなわ)」で、橋姫が頭にのせた鉄輪(かなわ)を置いた鉄輪掛石が叡山電鉄・貴船口駅の傍らにある。
 丑ノ刻詣りは、祭神が国土豊潤のため、丑年丑月丑刻に降臨されたと伝える古事によるもので、人々のあらゆる心願成就に霊験あらたかな事を示すもので、単にのろいにのみとどめるべきものではない。